子宮頚癌発癌に対するHPVの関与については、これまでに当産科婦人科学教室の研究成果を始めとする数多くの基礎研究の蓄積があります。子宮頸癌のスクリーニングにおいても、細胞診とHPV検査の組み合わせが有効であることに疑問の余地はありません。
しかし、それをいざ通常の住民検診に応用しようとすると、普及活動に多大な労力が必要となり、経済効率の点も問題になって、今のところ全国的な広がりを見せるにはいたっていません。当教室を中心とした関連病院の協力のもとに、平成15年度より石川県全体でのパイロットスタディが行われ、さらに平成16年度からは全国に先がけて、金沢市子宮がん検診(すこやか検診)の受診者を対象に、細胞診だけでなくHPV検査の導入が開始されました。HPV検査の導入が検診精度を向上させることのさらなるエビデンスを求めて、今年度も努力が続けられています。
平成15年度の石川県での結果では、同意の得られた検診受診者8,156人全員に細胞診とHPV検査が施行されました。その結果、細胞診のみでは軽度異形成以上の病変を検出する感度が69.0%であったものが、細胞診とHPV検査を組み合わせることによって94.2%にまで上昇することが確認されました。
平成16年度の金沢市での検診は経済的効率が考慮され、検診受診者13,240人のうち、細胞診において明らかな陰性となった場合と要精検が確定した場合は除外され、400人がHPV検査対象となりました。そのうち細胞診が陰性でもHPV陽性となることもあり、本来細胞診のみでは検出することのできなかった29人に軽度異形成以上の病変を検出することが可能でした。さらにこの方法では、検診者一人当たり約100円の負担増加のみ(金沢市が負担)でHPV検査の導入が可能であることも明らかになりました。今後は検診効率と経済効率をさらに高いレベルで求めるため、隔年で子宮がん検診を行うかわりに検診対象者全員にHPV検査を行うなど、さらなる工夫を行政担当者との話し合いで進めています。 |